ひびつみ
COLUMN

感謝日記の書き方
三日坊主にならない、続け方のコツ

2026年6月 ・ ひびつみ開発チーム

「今日ありがたかったことを書く」。感謝日記は、日記の型のなかでも昔から知られているもののひとつです。やることはシンプルで、出来事ではなくありがたいと感じたことに目を向けて、短く書き留めるだけ。準備もいりません。

ただ、いざ続けようとすると、独特のつまずきがあります。同じ「ありがとう」が並んでわざとらしく感じたり、書くことが見つからなくなったり、しんどい時期にかえって苦しくなったり——。この記事では、感謝日記とは何か、似ているけれど別物のよかったこと日記とどう違うのか、そして三日坊主にならずに続けるコツを、正直に紹介します。感謝を無理に絞り出さなくていい、という前提も最初にお伝えしておきます。

感謝日記とは — ありがたいと感じたことを書く

感謝日記とは、その日にありがたいと感じたこと、感謝の気持ちが向いた相手や物事を書き留める日記です。英語圏では gratitude journal と呼ばれ、心理学の分野でも昔から扱われてきました。書く対象は、人でも、環境でも、ささいな出来事でもかまいません。「電車で席をゆずってもらった」「家族が夕飯を作ってくれていた」「晴れていて洗濯物が乾いた」——大きさは問いません。

ふつうの日記が出来事や気持ちを幅広く書くのに対して、感謝日記は「ありがたい」という一点に的をしぼるのが特徴です。的がしぼられているぶん、何を書くか迷いにくく、始めやすい。一方で、しぼられているからこその難しさもあります。そこは後半でくわしく扱います。

よかったこと日記との違い

よく混同されるのがよかったこと日記(英語圏で Three Good Things と呼ばれる型)です。両方ともポジティブな面に目を向ける点は同じですが、視点が少し違います。よかったこと日記は「今日よかったこと」を広く拾う——うどんがおいしかった、でも成立します。感謝日記は、そのなかでも「誰か・何かのおかげ」という感謝の向きがある出来事に焦点を当てます。

どちらが優れているという話ではなく、相性です。人とのつながりやめぐまれている実感に目を向けると気持ちが落ち着く人は感謝日記が、対象を感謝に限定されると手が止まる人は枠の広いよかったこと日記が向きます。迷うなら、より枠の広いよかったこと日記から試してみるのも手です。この記事は感謝日記そのものに絞って進めます。

効果として言われること — 正直なところ

感謝日記には「気持ちが前向きになる」「よく眠れるようになる」といった効果がよく語られます。ただ、ここは正直に書いておきたいところです。感謝と心の健やかさの関係を調べた研究はいくつかありますが、「幸福度が上がる」「気分の落ち込みが治る」と断言できるものではありません。あくまで「そういう傾向が報告されている」という程度に受け取るのが安全です。

よく引かれるのは、エモンズとマッカローが2003年に行った「恵みを数える」研究です。感謝したことを書くグループは、面倒だったことを書くグループに比べて、生活への前向きさなどがやや高かったと報告されています。興味深いのは、毎日よりも週に1回のほうが効果が出やすかったとされる点で、これは「感謝はたくさん書くほどいい」という思い込みとは逆の話です。

起きるのは「人生が変わる」ような劇的なことではなく、ありがたさに気づく回数が少し増える、という静かな変化だと言われています。

もうひとつ、研究で示唆されているのは、無理に感謝しようとするとかえって逆効果になりうるということです。つらい気持ちにふたをして「ありがたいと思わなきゃ」と自分に強いると、苦しさが増すことがあると指摘されています。だからこの記事では、効果を売り文句にするより、義務にしないことのほうを大事にして書いていきます。心身の不調が続くときは、日記より先に休息をとることや、専門の窓口・医療機関を頼ってください。

感謝日記の書き方 — 具体例つき

書き方に決まった正解はありませんが、続けやすい型はあります。基本は「ありがたかったこと」と、できれば「誰・何のおかげか」をひとことだけ。1日に書く数は、3つを目安にする人が多いですが、上で触れたとおり数にこだわりすぎないほうがうまくいきます。1つでも、ゼロの日があっても構いません。

夜寝る前に書く人が多いですが、時間帯は自由です。朝に「昨日ありがたかったこと」を思い出す形でもかまいません。大切なのは、うまく書こうとしないこと。文章にならなくても、単語の羅列で十分です。短くひとことだけ残す習慣そのものは一言日記、3行で区切る型は3行日記のページでも紹介しています。

「わざとらしい・ネタ切れ・しんどい」——感謝日記の落とし穴

感謝日記がやめられてしまう理由は、だいたい3つに分けられます。どれも感謝日記ならではのつまずきなので、対処とあわせて見ていきます。

落とし穴① わざとらしく感じる

「ありがとう」と書くこと自体が、だんだん白々しく思えてくる——これはとても多いつまずきです。とくに、心から感じていないのに形だけ書いていると、自分でうそをついているような気持ちになります。対処は、感謝の言葉でしめくくろうとしないこと。「ありがたい」と書かなくても、「〜してもらった」と事実だけ書けば十分です。気持ちは、書いているうちに後からついてきます。それでも白々しさが消えないなら、その日は無理に書かなくて構いません。

落とし穴② ネタ切れになる

毎日続けると、同じ顔ぶれ(家族・食事・天気)ばかりになり、「もう書くことがない」と感じてきます。これは悪いことではなく、あなたの感謝の源泉が一定だという発見でもあります。それでも手が止まるなら、探す場所を変えてみてください。「なかったこと(頭痛が出なかった)」「過去のこと(あのとき助けてもらった)」「遠くの誰か(この道を整備してくれた人)」など、目線をずらすと見つかりやすくなります。あるいは、毎日ではなく週に何回かに減らすのも有効です。研究でも、毎日より間隔をあけたほうが効果が出やすいとされていました。

落とし穴③ しんどい時期に苦しくなる

いちばん気をつけたい落とし穴です。気分が落ちているときに「感謝しなきゃ」と思うと、感謝できない自分を責める材料になってしまうことがあります。感謝日記は、本当は記録がほしいしんどい時期ほど、書きにくくなる性質があります。そういう時期は、感謝を休んでいい。つらい気持ちを無理にポジティブに変換する必要はありません。書くなら、感謝ではなく「今日しんどかった」と正直に書くほうが、よほど自分のためになります。

三日坊主にならない、続けるコツ

感謝日記が続かないのは、意志が弱いからではありません。たいていは、ハードルが高すぎるか、義務になっているかのどちらかです。三日坊主は直す対象というより、仕組みで越えるものです。続けるための小さなコツを挙げます。

感謝に限らず、書いて気持ちを扱う習慣そのものに興味が出てきたら、ジャーナリングのページも参考になります。型は、自分が続けられるものを選ぶのがいちばんです。

義務化して逆効果にしない — 感謝は、強制しない

最後に、いちばん大事なことを書きます。感謝日記でもっとも避けたいのは、感謝を義務にすることです。「毎日かならず感謝する」と決めたとたん、感謝はノルマになり、本来の落ち着きから遠ざかってしまいます。先に触れたとおり、無理な感謝はかえって苦しさを増すと指摘されています。

感謝は、わいてくるものであって、ひねり出すものではありません。だから、感じない日に感じたふりをしなくていい。書けない日は書かない、しんどい日は休む。それでも感謝日記は失敗しません。むしろ、無理をしない範囲で細く長く続けるほうが、ありがたさに気づく回数は静かに増えていきます。

もし「感謝を書く」こと自体が重く感じるなら、感謝にこだわらず、その日の気持ちをただ点として残すだけでも十分です。気持ちを正直に置いておける場所があれば、感謝はそのうち、書こうとしなくても自然と出てくるようになります。

よくある質問

Q. 感謝日記は毎日書かないといけませんか?

いいえ、毎日でなくて大丈夫です。むしろ研究では、毎日より週に数回のほうが効果が出やすいとされる報告もあります。間隔をあけたほうが新鮮さが保たれ、ネタ切れもしにくくなります。「書けたぶんだけ」「今日は1つ」で十分です。書けない日があっても、習慣は途切れません。

Q. 感謝日記と、よかったこと日記は何が違うのですか?

視点が少し違います。よかったこと日記(Three Good Things)は「今日よかったこと」を広く拾う型で、うどんがおいしかった、でも成立します。感謝日記は、そのなかでも「誰か・何かのおかげ」という感謝の向きがある出来事に焦点を当てます。感謝に限定されると手が止まる人は、枠の広いよかったこと日記のほうが向くこともあります。どちらが上ということはなく、相性の問題です。

Q. つらいとき、無理に感謝することはありませんか?

ありません。気分が落ちているときに「感謝しなきゃ」と思うと、感謝できない自分を責める材料になってしまうことがあります。無理な感謝はかえって苦しさを増すとも指摘されています。つらい時期は感謝を休んでいいですし、書くなら「今日しんどかった」と正直に書くほうが自分のためになります。不調が続くときは、書くことより休息や、専門の窓口・医療機関に相談することを優先してください。

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ひびつみ — 書かない日記

感謝を3つ書くだけなら、ノートでもできます。ただ、感謝を書く気力さえない日もあります。ひびつみは、そんな日の軽い受け皿として作りました。気分を5択から選んでタップし、やったことをタグで残すだけ。感謝やひとことは、書きたい日だけ任意で一行。10秒あれば、その日の気持ちを置いておけます。感謝を強制する仕掛けはありません。続けると、週に一度「散歩がある日は気分が上向きやすい」といった、あなたの記録から見えた事実がそっと返ってきます。端末内に保存され、褒めも採点もしない、静かな記録です。

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