ひびつみ
COLUMN

シャドウワーク・ジャーナルが続かない人へ
まず「書かずに」気分の波を残す

2026年6月 ・ ひびつみ開発チーム

「シャドウワーク」という言葉を、本やSNSで見かけて気になった——そんな方が増えています。見たくない自分や、抑え込んできた感情に向き合う心理探求として紹介され、関連する「シャドウワーク・ジャーナル」も知られるようになりました。けれど、いざ始めてみると書き出すのがしんどくて、数日で止まってしまったという声も少なくありません。それは、意志が弱いからではありません。

この記事では、シャドウワークとは何かをやさしく整理したうえで、なぜ続かないのか、そしていきなり深く書き出す前に踏める、もっと軽い前段階を提案します。まず気分とタグを数タップで残して、自分の波を見える形にしておく。波が見えてから、向き合いたい日にだけ少し書く——そんな入り方です。先にお伝えしておくと、これは心の傷を癒す方法でも、つらさを治す方法でもありません。強い感情やつらい記憶でしんどいときは、無理に一人で掘り下げず、カウンセラーや医療機関といった専門家を頼ってください。その前提のうえでの、静かな話です。

シャドウワークとは — 見たくない自分に「気づく」こと

シャドウワーク(shadow work)は、心理学者ユングが用いた「シャドウ(影)」という考え方が元になっているといわれます。シャドウとは、ふだんの自分では認めたくない、見ないようにしてきた感情や性質のことを指します。たとえば、本当は感じている怒りやねたみ、弱さや寂しさなど、「こんな自分でいたくない」としまい込んできた部分です。

シャドウワークは、そうした抑え込んできた感情や、見たくない自分の側面に、少しずつ気づいていくための心理探求として紹介されています。ジャーナル(書く形でのワーク)では、問いに沿って自分の気持ちを書き出し、ふだん目を向けない部分を言葉にしていく、というやり方がよく知られています。

ここで一つ、はっきりさせておきたいことがあります。シャドウワークは、自分を「気づく」「整理する」ための営みであって、心の不調を治療するものではありません。この記事でも、効果や癒しを約束する話はしません。あくまで、自分を知る入り口のひとつとして扱います。自分の内側に目を向けること自体については内省のやり方のページでも、考えすぎにならない範囲で整理しています。

なぜ「書き出すシャドウワーク」は続かないのか

シャドウワーク・ジャーナルが続きにくいのには、いくつかの理由があります。意志の弱さの問題ではなく、やり方そのものが負荷の高いものだから、というのが正直なところです。

1. 見たくないものに向き合うのは、そもそも重い

シャドウワークは、ふだん避けている感情をあえて見にいく営みです。だからこそ意味があるとされる一方で、向き合うこと自体が心の負担になります。元気な日ならまだしも、疲れている日や落ち込んでいる日に、つらい気持ちを掘り起こすのは、簡単なことではありません。続かないのは自然なことなのです。

2. 毎日きちんと書くのは、ハードルが高い

問いに沿って気持ちを文章にするには、考える時間も、書く気力も要ります。日記やジャーナルが続かない理由は、突き詰めると「書くのが面倒」「ひと手間が重い」という単純なところに行き着きがちです。深く向き合うワークなら、なおさらです。続かない理由全般は日記が続かない理由のページでも扱っています。

3. 何から書けばいいか、分からない

「見たくない自分に向き合おう」と言われても、いきなりでは何を書けばいいのか分からない、という人は多いものです。手がかりがないまま重いテーマに挑むと、書けないまま手が止まり、そのうち開かなくなります。

これらはどれも、あなたの問題ではなく、いきなり深いところから始めようとしているために起きていることです。だとすれば、もっと手前から、軽く始める道があってもいいはずです。

いきなり書かず、まず「自分の波」を見える形にする

そこで提案したいのが、深く書き出す前の前段階です。向き合う前に、まず材料を集めておく、という発想です。具体的には、毎日その日の気分と、簡単なタグだけを数タップで残しておきます。文章は書きません。

  1. その日の気分。とても良い〜とても悪い、くらいの大ざっぱな5段階で十分です。選ぶだけです。
  2. その日のタグ。「人と会った」「仕事がきつかった」「よく眠れた」など、当てはまるものだけ。考え込む必要はありません。
  3. ひとこと(任意)。書きたい日だけ、一行。書けない日は気分とタグだけで構いません。

これを二週間ほど続けてから眺めると、「特定の曜日に気分が下がりやすい」「ある人と会った日に落ちていることが多い」といった、自分の中の波やパターンが、感覚ではなく記録として、うっすら見えてきます。これは、いきなり「見たくない自分」を探しにいくのとは、まったく違う入り方です。重いテーマを掘り起こすのではなく、ただ起きたことを点で残しておくだけだからです。気分の波そのものとの付き合い方は気分の波との付き合い方のページにまとめています。

大事なのは、これは原因を証明するものではないということです。たまたまかもしれませんし、別の理由が重なっているのかもしれません。それでも、「なんとなくしんどい」が「どうやら、こういう日に下がっているらしい」と少し具体的になるだけで、自分を見る手がかりになります。

波が見えてから、向き合いたい日に少しだけ書く

記録がたまって自分の波が見えてくると、ときどき「この日は、どうしてこんなに落ちていたんだろう」と、自分から気になる日が出てきます。そのときが、シャドウワークでいう「向き合う」の、無理のない入り口です。

ここでも、毎日きちんと書く必要はありません。気になった日にだけ、少しだけ言葉にしてみる。それで十分です。点として残した記録があるぶん、いきなり白紙に向かうよりも、書く手がかりがあります。「この日のことを、もう少し書いてみようか」と思えた日にだけ、ペンを取ればいいのです。気持ちを言葉にしていく手順は気持ちの整理のしかたのページが参考になります。

そして、向き合うときには、いくつか気をつけたいことがあります。

自分を一段上から眺める視点についてはメタ認知とはのページでも扱っています。向き合うというより、少し離れて自分を見る、くらいの距離感のほうが、たいていは続きます。

ひびつみは、自己分析を急かさない

ここまで書いてきた「前段階」を、できるだけ軽くするために作っているのが、書かない日記のひびつみです。気分を5段階から選び、タグを付けるだけ。ひとことは書きたい日だけ。10秒あれば終わります。

ひびつみの特徴は、ためた記録に対して事実だけを返すことです。励ましも、占いも、おしゃべりもしません。「あなたは本当はこう感じている」といった解釈もしません。返すのは、「この二週間で気分が低かったのは火曜が多い」「人と会った日は平均より少し下がっている」といった、あなた自身のデータから見える数字だけです。

なぜそうしているかというと、自己分析を急かさないためです。アプリのほうが「あなたはこういう人です」と決めつけてくると、それ自体が一種の押しつけになりかねません。シャドウワークのように、自分の内側に向き合う営みでは、なおさらです。だからひびつみは、事実だけをそっと置いて、あとは本人が、向き合いたいときに向き合えばいい——そういう距離を取っています。自分と向き合うことそのものの怖さやつらさについては自分と向き合うとはのページで、より深く整理しています。

つらいときは、無理に向き合わず専門家に相談を

最後に、いちばん大事なことを書いておきます。この記事で紹介したのは、あくまで自分の波を記録して、向き合いたい日に少しだけ言葉にする、という軽い前段階です。これは、心の傷を癒す方法でも、つらい記憶やトラウマを治す方法でもありません。記録や軽いワークには、そういう力はない、ということは正直にお伝えしておきます。

シャドウワークは、見たくない自分やつらい記憶に触れる営みです。だからこそ、強い感情がこみあげてくる、過去のつらい出来事を思い出して苦しくなる、書いたあとに気持ちが大きく沈む——そうしたときは、一人で掘り下げないでください。無理に向き合うことが、いつも良い結果につながるとは限りません。つらいときに立ち止まるのは、後退ではなく、自分を守る選択です。

そして、気分の落ち込みが何週間も続く、眠れない日が続く、過去の出来事が頭から離れずにつらい、日常生活に支障が出ている——そうした状態のときは、記録や自己流のワークで様子を見るより、まず休むこと、そしてカウンセラーや心療内科などの専門家、公的な相談窓口に相談することを優先してください。記録は、調子が比較的安定しているときに、自分の波をゆるく知っておくための静かな手立てにすぎません。それ以上の役割を背負わせないことが、自分を守りながら付き合うコツだと思います。

よくある質問

Q. シャドウワークとは、結局どういうものですか?

心理学者ユングの「シャドウ(影)」という考え方が元になった、自分が認めたくない感情や見ないようにしてきた側面に、少しずつ気づいていくための心理探求として紹介されています。書く形のもの(シャドウワーク・ジャーナル)では、問いに沿って気持ちを書き出していくやり方がよく知られています。ただし、これは自分を知る入り口であって、心の不調を治療するものではありません。

Q. シャドウワークをすれば、心の傷やつらさは癒えますか?

いいえ。記録も、軽いワークも、心の傷を癒したり、つらい記憶を治したりするものではありません。この記事で扱っているのは、自分の波を記録して、向き合いたい日にだけ少し言葉にする、という軽い前段階です。強い感情やつらい記憶でしんどいときは、無理に一人で掘り下げず、カウンセラーや心療内科などの専門家、公的な相談窓口に相談してください。

Q. ジャーナルを書くのがしんどくて続きません。どうすればいいですか?

いきなり深く書き出すのは負荷が高く、続かないのは自然なことです。まずは書く前の前段階として、その日の気分を5段階から選び、当てはまるタグを付けるだけ、という軽い記録から始めてみてください。二週間ほどたまると、自分の波がうっすら見えてきます。向き合うのは、波が見えてから、調子のいい日に少しだけ。書いていてつらくなったら、すぐにやめて構いません。

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ひびつみ — 書かない日記

シャドウワークやジャーナルが続かないのは、いきなり深く書き出そうとしているからかもしれません。ひびつみは、その手前を軽くするための、書かない日記です。気分を5段階から選んでタップし、その日のタグを付けるだけ。ひとことは書きたい日だけ、10秒あれば終わります。続けていくと、週に一度「この週は火曜に気分が下がりやすかった」のように、あなたの記録から見えた事実だけが返ってきます。励ましも占いもなく、解釈も採点もしません。向き合うかどうかは、あなたが決めます。記録は端末内に保存されます。

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