ひびつみ
COLUMN

自分の取扱説明書とは
書かずに、記録から立ち上げる

2026年6月 ・ ひびつみ開発チーム

性格診断を受けて「当たってる」と思っても、結果は数日で忘れてしまう。そんな経験はないでしょうか。診断のおもしろさを、自分のために使える形にして手元に残しておく——それが自分の取扱説明書(自分のトリセツ)です。

自分の取扱説明書とは、自分の機嫌の取り方や、苦手なこと、こうされると嬉しいことなどを、自分の言葉で書き出してまとめたメモのことです。ただ、いざ作ってみると、多くの人が「一度書いて、そのまま」になりがちです。この記事では、自分の取扱説明書とは何かを整理したうえで、なぜ続かないのか、そして机に向かって一気に書くのではなく、日々の記録から少しずつ立ち上げて、勝手に更新され続けるやり方を見ていきます。

自分の取扱説明書とは — 自分を「事実」でメモする

自分の取扱説明書とは、自分という人の扱い方を、自分でまとめておくメモです。家電に取扱説明書がついているように、「自分はこういうとき調子が出る」「こうされると落ち込む」「機嫌が悪いときはそっとしておいてほしい」といったことを、言葉にして残しておきます。よく書かれる項目には、こんなものがあります。

まずはこの4つを見出しにして、思いつくことを書き出してみるだけでも、最初の一枚になります。完璧でなくてかまいません。大事なのは、理想の自分でなく、実際の自分を書くことです。自己理解そのものの深め方は自分を知るにはにまとめていますが、取扱説明書はその「成果物」——自己理解を、持ち歩ける一枚の形にしたもの、と考えると分かりやすいでしょう。

なぜ「一度作って終わり」になりやすいのか

自分の取扱説明書は、作ってみると楽しいものです。けれど、多くの人がぶつかる壁があります。それは、一度書いたきり、更新されないということです。

理由は二つあります。ひとつは、机に向かって一気に書こうとすること。「自分の苦手は?」と急に問われても、その場の気分で思いつくことしか書けず、書き終えると満足してしまいます。もうひとつは、人は変わっていくのに、メモは止まったままになること。半年前のトリセツが、いまの自分に合わなくなっていることは珍しくありません。

つまり、自分の取扱説明書がうまくいかないのは、意志や文章力の問題ではなく、「一度で完成させようとする作り方」の問題です。続かないのは仕組みのせいだ、という見方は日記が続かない理由とも共通します。

書かずに、ためる — 素材は日々の記録から集まる

では、どうすればいいか。考え方をひっくり返します。一気に書くのをやめて、日々の小さな記録から、素材が勝手に集まるようにするのです。

やることは、その日の気分と、やったことを軽く残すだけです。「気分はまあまあ / 残業 / 寝不足」。これを続けると、机で考えても出てこなかった自分の事実が、記録の中にたまっていきます。気分を点として残すこと自体の意味は気分を記録すると、何がいいのかに、気持ちに一語の名前をつけて残すやり方は感情ラベリングとはにまとめています。

記録は、その日の気分しだいで盛ったり削ったりしてしまう「机の前の自分」より、ずっと正直です。トリセツの材料は、思い出して書くものではなく、すでに起きたことの中から拾うもの。だから、書く負担がほとんどないまま、素材だけが静かにたまっていきます。

ためた記録が、「トリセツ」になる

記録が何週間かたまると、机に向かっても出てこなかった自分の事実が、自然と浮かび上がってきます。それが、あなたの取扱説明書の中身になります。

たまった記録から自分の傾向にそっと気づいていく姿勢はセルフモニタリングとはとも重なります。しかも記録は続く限り増えていくので、トリセツは一度きりの完成品ではなく、自分の変化に合わせて、勝手に更新され続けるものになります。

完璧でなく、「更新され続ける」トリセツを

自分の取扱説明書は、立派な一枚に仕上げることがゴールではありません。むしろ、いまの自分に合っていることのほうが、ずっと大切です。人は変わります。去年の苦手が、今年は平気になっていることもあります。だから、一度で完璧に書き上げようとせず、ためた記録から、そのつど更新していくくらいの軽さがちょうどいいのです。

なお、自分の苦手やつらさを見つめる中で、気持ちの落ち込みが強い、あるいは長く続いていると感じたときは、メモにまとめて抱えようとせず、信頼できる人や専門の相談窓口に話してみてください。こころの不調について電話で相談できる「こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)」などの公的な窓口があります。取扱説明書は、自分を知って付き合いやすくするための道具であって、つらさを一人で抱えるための道具ではありません。

よくある質問

Q. 自分の取扱説明書には、何を書けばいいですか?

決まった形はありませんが、よく書かれるのは「機嫌が良くなること・回復する方法」「苦手なこと・消耗する状況」「こうされると嬉しい/嫌なこと」「調子を崩すサイン」などです。理想の自分ではなく、実際の自分を書くのがコツです。とはいえ、机に向かって全部思い出そうとすると手が止まりがちなので、日々の気分や行動の記録からたまった事実を拾っていくと、無理なく埋まっていきます。

Q. 性格診断の結果と、何が違いますか?

性格診断は、いくつかのタイプに当てはめて自分を理解する入り口です。自分の取扱説明書は、そこからもう一歩進んで、自分だけの具体的な事実(何で回復するか、何が苦手か)を自分の言葉でまとめたものです。診断が「タイプ」だとすれば、取扱説明書は「自分専用の実物メモ」。診断で気づいたことを、日々の記録で確かめながら更新していくと、自分にぴったりの一枚になります。

Q. 一度作ったのに、続きません。

それは意志の問題ではなく、「一度で完成させようとする作り方」が原因であることがほとんどです。人は変わるので、メモも変わり続けるのが自然です。机で一気に書き直そうとせず、日々の記録から見えてきたことを、そのつど少しずつ書き足していくと、更新が続きやすくなります。完璧な一枚を目指すより、いまの自分に合っていることを優先してください。

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ひびつみ — 書かない日記

自分の取扱説明書を作りたくても、机に向かって自分を一気に棚おろしするのは、なかなか骨が折れます。ひびつみは、その日の気分を5段階から選んでタップし、やったことをタグで残すだけ。書きたい日だけひとことを添えれば、10秒で終わります。続けていくと、週に一度「散歩した日は気分が平均より上向きやすい」のように、あなたの記録から見えた事実だけが返ってきます。その事実の積み重ねが、机で考えても出てこなかった、あなただけの取扱説明書になっていきます。励ましも占いもなく、褒めも採点もしません。記録は端末内に保存されます。

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